アンキアライン

ルイジ・ノーノの音楽(主として後期作品)について

2011-10-17から1日間の記事一覧

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 1/4

これはPost-prae-ludium per Donauの演奏開始から7分53秒までに起きた出来事についてのノートである 0001 Post-prae-ludium(前奏その1) ノーノのライヴ・エレクトロニクス作品の制作拠点であったフライブルクのハインリッヒ・シュトローベル記念財団実験…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 2/4

0000-0430 晩夏 演奏開始から5m20sまでのあいだ稼動するライヴ・エレクトロニクスのプログラム1は、チューバの演奏音に対し、5、7、10、15秒の4つのディレイを生成する。このディレイの設定の意図を知るためには、別の作品、二人の奏者のためのA Pierre (1…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 3/4

0700-0753 海鳴 7m00sから53秒間にわたって、断片群は消失する。断片が消えた状態であるということは、楽譜を見ても明らかである。C1の超低音を指示する全音符が一つ置かれているだけ。音符にはフェルマータが付けられ、ca53''と書かれているが、循環呼吸の…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 4/4

0752 溢水 ダラピッコラのオペラIl Prigionieroを海とするならば、ノーノのCon Luigi Dallapiccolaはその海に浮かぶ捕鯨船のようなものである。Il Prigionieroの海原を遊弋していたfa-mi-do#というたった3音の素材が、Con Luigi Dallapiccolaでは船上に引き…