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アンキアライン

ルイジ・ノーノの音楽(主として後期作品)について

ブルーノーノ 第一部 1/8

N1 ノーノのinfiniti possibili なにか限りのないものに向き合っているという首尾一貫した気分によって、後期ノーノの十余年が裏打ちされているらしいということは、この時期のノーノが残した文章や発言のなかに頻出するinfinito(無限の)という語彙が教え…

ブルーノーノ 第一部 2/8

B1 ブルーノのアンピトリテ 世界の複数性に関して、ブルーノがカッチャーリの群島といっけんよく似た絵を宇宙空間に描いているとしても、ひとたびブルーノの思想内容を吟味してみれば、それは鳥の翼と昆虫の翅が似ているがごときものであることがわかる。カ…

ブルーノーノ 第一部 3/8

N2 ノーノのsuono mobile しばしば「島」に喩えられる後期ノーノの音は、島と呼ぶにしてはやや奇妙なある独特の性質を具えている。 そのsuono mobileという表現を、ノーノは1983年に初演されたGuai ai gelidi mostriに関する断片的なメモ *1 のなかではじめ…

ブルーノーノ 第一部 4/8

N2 ノーノのsuono mobile(承前) 五線譜上ではただ一つの音符で単純明快に、univocalに書き表される「単一音」が、じつのところ無尽蔵の多様性を孕んでいるという発見は、音を「書く」ことについてのノーノの意識を根底から揺るがす事件であったはずである…

ブルーノーノ 第一部 5/8

C1 カッチャーリの結晶化する世界 サルヴァトーレ・シャリーノがLa lontananzaのKAIROS盤CDのライナーノーツのなかで披露している痛快な逸話は、ノーノがいかに「固定」と名のつくあらゆるものを、たんなる作曲の方法論に留まらずほとんど生理的レベルで忌避…

ブルーノーノ 第一部 6/8

B2 ブルーノの流動化する世界 多様な差異と見られるものは、ただ一つの無限な実体の多様で異なった相貌であるにすぎないという思想に支えられたブルーノの多様性のモデルは、海のような無限の広がりのなかに、島のような固定的なものの存在を認めない「外洋…

ブルーノーノ 第一部 7/8

N3 ノーノのaltro ノーノのsuono mobileに息づいているブルーノ的精神を確かめるためには、suono mobileの最終形態から話をはじめるのが一番分かりやすいだろう。 前にも言ったとおり、ノーノがsuono mobileという概念にはじめて言及したのは、1983年のGuai …

ブルーノーノ 第一部 8/8

N3 ノーノのaltro(承前) ところで、後期ノーノの音楽のなかでは、今まで述べてきたaltro...altro...とはまた別のリズムを聞き取ることもできる。いやむしろ、そちらのほうがずっと「メジャー」な、表看板にあたるリズムだと言ったほうがいいだろう。 後期…