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アンキアライン

ルイジ・ノーノの音楽(主として後期作品)について

ドナウ・ノートの後篇の後篇、および峠の茶屋

Post-prae-ludium per Donauについてのノートは、各論のあいだに後期ノーノ全般についての総論が2回挟まる構成になっている。 ドナウのための後-前-奏曲のためのノート 各論1 00m00s-07m00s 総論1 07m00s-07m53s 各論2 07m53s-11m12s 総論2 11m12s 各…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 1/5

これはPost-prae-ludium per Donauの演奏開始後7分53秒から演奏終了までに起きた出来事についてのノートの後篇の、前篇である。予想外に長くなったので後篇はさらに前―後篇に分かれることになった。 0753-1000 それでも鼓動はまた動きだす Post-prae-ludium …

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 2/5

1112b 純粋性について Post-prae-ludium per Donauの11m12sに現前すると期待されている空虚を07m00s-07m53sの空虚とは異質であるとしているのは、後者が細部性の次元で起こる溢水の産物であるのに対し、前者は純粋性の次元に属するとみているからである。で…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 3/5

1112c 別の海 オルペウス教の精髄は、Prometeoのリブレットのなかでは、Isola seconda b) Hölderlinを締めくくるfratelli infelici「不幸せなきょうだい」という言葉に集約されている。(天上の幸福な神々に比べて、労苦を抱え地上をさまよう人間はいかにも…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 4/5

1112d 産出する空虚 「別の状態」へのムージルの思いいれにはひとかたならぬものがある。ならば未完に終わった『特性のない男』のなかで、別の状態こそが究極的な到達点となるはずだったのかというと、どうやらそうではないという説の方が有力のようである。…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 5/5

1112e ヴェーベルン島とノーノ島 ところでカッチャーリは、先に引用したPrometeo論のなかでノーノのPrometeoはコンポジションであるとも書いている。 ノーノのプロメテウスにとってロゴスとは、同じではないものを、そのようなものとして、それらの区別を保…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 1/4

これはPost-prae-ludium per Donauの演奏開始から7分53秒までに起きた出来事についてのノートである 0001 Post-prae-ludium(前奏その1) ノーノのライヴ・エレクトロニクス作品の制作拠点であったフライブルクのハインリッヒ・シュトローベル記念財団実験…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 2/4

0000-0430 晩夏 演奏開始から5m20sまでのあいだ稼動するライヴ・エレクトロニクスのプログラム1は、チューバの演奏音に対し、5、7、10、15秒の4つのディレイを生成する。このディレイの設定の意図を知るためには、別の作品、二人の奏者のためのA Pierre (1…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 3/4

0700-0753 海鳴 7m00sから53秒間にわたって、断片群は消失する。断片が消えた状態であるということは、楽譜を見ても明らかである。C1の超低音を指示する全音符が一つ置かれているだけ。音符にはフェルマータが付けられ、ca53''と書かれているが、循環呼吸の…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの前篇 4/4

0752 溢水 ダラピッコラのオペラIl Prigionieroを海とするならば、ノーノのCon Luigi Dallapiccolaはその海に浮かぶ捕鯨船のようなものである。Il Prigionieroの海原を遊弋していたfa-mi-do#というたった3音の素材が、Con Luigi Dallapiccolaでは船上に引き…