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アンキアライン

ルイジ・ノーノの音楽(主として後期作品)について

Das atmende Klarsein Texts 概略

Das atmende Klarsein

小規模な合唱とバスフルート、ライヴ・エレクトロニクス、テープによるDas atmende Klarsein(1981年5月30日初演)のためにマッシモ・カッチャーリが編集したテキストは、ライナー・マリア・リルケの詩と、古代ギリシャの「オルペウスの金板」に刻まれた死者を導く言葉とを組み合わせたものである。テキストの一部はイタリア語に訳されており、ドイツ語、ギリシャ語、イタリア語の3ヶ国語のモザイクを成している。

 

表題のDas atmende Klarseinは、リルケの『ドゥイノの悲歌』第七悲歌の一節からの引用である。テキストでは、「実存のはかなさの意識と存在の充溢への称賛がいっけん逆説的に共存している」*1 とカッチャーリが評するこの「第七悲歌」を中心として、このほかに、『ドゥイノの悲歌』第二悲歌、第五悲歌、『オルフォイスへのソネット』第一部第七ソネット、第一部第十四ソネットの言葉が引用されている。

 

『オルペウスの金板』とは、紀元前5世紀から紀元後2世紀にかけてのギリシャ本土や古代ギリシャの植民地マグナ・グラエキア(現在のイタリア南部)の墓から見つかっている、薄く小さな金の銘板である。この金板は、人間は神の血筋を引いていると説く密儀宗教(オルペウス教)の入信者に渡されたものである。そこに刻まれているのは、死後、冥界に下りた魂が

  • 進むべき正しい方角
  • 飲むべき水のありか
  • 冥界の番人やペルセポネに向けて言うべき言葉

を教え、かくして魂がその神的起源を思い出して、転生を繰り返す輪廻の輪から脱却し、永遠の至福の地へと辿り着けるように導く道しるべの言葉である。

 

Das atmende Klarseinのテキストは13のブロックからなり、以下のように配置されている。

 

Text 1

Text 2_____Text 3_____Text 4

Text 5_________Text 6

Text 7____Text 8____Text 9____Text 10

Text 11

Text 12

Text 13

 

Das atmende Klarseinの音楽は、アカペラ合唱とバスフルート独奏が交互に現れる、

Chorus 1 - Flute 1 - C2 - F2 - C3 - F3 - C4 - F4

という構成になっている。合唱で実際に歌われる言葉は、テキストのうち一部のみである。

 

テキストの出典を表すために以下の略号を用いた(Lは行数)。

 

Duineser Elegien ドゥイノの悲歌
Die zweite Elegie 第二悲歌(略号 E2)
Die fünfte Elegie 第五悲歌(略号 E5)
Die siebente Elegie 第七悲歌(略号 E7)

 

Die Sonette an Orpheus オルフォイスへのソネット
ERSTER TEIL VII 第一部第七ソネット(略号 S7)
ERSTER TEIL XIV 第一部第十四ソネット(略号 S14)

 

Orphic Gold Tablets オルペウスの金板
Hipponion Tablet ヒッポニオン(略号 H)
Petelia Tablet ペテリア(略号 P)
Thurii 1 Tablet トゥリオイ(略号 T1)

*1:Massimo Cacciari Das atmende Klarsein (from Omaggio a Nono, Scuola di Musica di Fisole)