アンキアライン

ルイジ・ノーノの音楽(主として後期作品)について

2012-10-17から1日間の記事一覧

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 1/5

これはPost-prae-ludium per Donauの演奏開始後7分53秒から演奏終了までに起きた出来事についてのノートの後篇の、前篇である。予想外に長くなったので後篇はさらに前―後篇に分かれることになった。 0753-1000 それでも鼓動はまた動きだす Post-prae-ludium …

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 2/5

1112b 純粋性について Post-prae-ludium per Donauの11m12sに現前すると期待されている空虚を07m00s-07m53sの空虚とは異質であるとしているのは、後者が細部性の次元で起こる溢水の産物であるのに対し、前者は純粋性の次元に属するとみているからである。で…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 3/5

1112c 別の海 オルペウス教の精髄は、Prometeoのリブレットのなかでは、Isola seconda b) Hölderlinを締めくくるfratelli infelici「不幸せなきょうだい」という言葉に集約されている。(天上の幸福な神々に比べて、労苦を抱え地上をさまよう人間はいかにも…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 4/5

1112d 産出する空虚 「別の状態」へのムージルの思いいれにはひとかたならぬものがある。ならば未完に終わった『特性のない男』のなかで、別の状態こそが究極的な到達点となるはずだったのかというと、どうやらそうではないという説の方が有力のようである。…

ドナウのための後-前-奏曲のためのノートの後篇の前篇 5/5

1112e ヴェーベルン島とノーノ島 ところでカッチャーリは、先に引用したPrometeo論のなかでノーノのPrometeoはコンポジションであるとも書いている。 ノーノのプロメテウスにとってロゴスとは、同じではないものを、そのようなものとして、それらの区別を保…